台湾の大学院で修士論文の口頭試問を受けた話|意外と緊張しなかった理由
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台湾の大学院で修士論文を書き、最後に口頭試問を受けました。

修士論文を書いている間は、正直「本文を書き終えたら終わり」くらいに思っていた時期もありました。でも実際には、本文執筆、書式調整、Turnitin、印刷、先生方への提出、発表準備、口頭試問、そして試問後の修正まで、最後までやることがたくさんありました。

今回は、その中でも特に印象に残っている「口頭試問」について書いてみたいと思います。これから台湾の大学院で口頭試問を受ける人、海外の大学院で修士論文を書いている人、日本語で論文を書いているけれど制度は外国語環境という人に、少しでも参考になれば嬉しいです。

口頭試問の形式

私の場合、口頭試問は、指導教授1人、審査員2人の合計3人の先生方の前で行われました。流れとしては、発表が約20分、質疑応答が約30分、その後学生は一度外に出て、10分ほどして部屋に呼ばれ結果を伝えられる、という形でした。

発表時間は20分だったので、事前にスライドと台本を作って多少練習しました。研究背景、目的、方法、分析結果、結論、今後の課題を、限られた時間の中で説明する必要があります。20分という時間は、長いようでかなり短いです。研究全体を全部説明しようとすると、すぐに時間が足りなくなります。なので、発表では「何を捨てるか」もかなり大事でした。

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準備した質問は、ほとんどそのまま聞かれなかった

口頭試問前には、想定質問をかなり準備していました。でも実際には、準備した質問がそのまま聞かれることは、ほとんどありませんでした。

もちろん、準備が無駄だったわけではありません。準備する中で、自分の研究の目的や結論を整理できたので、それは確実に役に立ちました。ただ、先生方は、自分が想定していたところではなく、「そこを聞くのか」という角度から質問してきます。特に、自分では少し妥協していた部分、説明が弱かった部分は、やはり見られていました。

だから、口頭試問対策では、想定問答を丸暗記するよりも、「自分の研究を自分の言葉で説明できること」「なぜそう考えたのかを説明できること」「弱い部分を聞かれても、落ち着いて答えること」の方が大事だと思いました。

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緊張はしていなかったけど、答えられるかは不安だった

正直に言うと、口頭試問そのものに、いわゆる「緊張」はあまりありませんでした。もともと私は、人前に出ると手が震えたりするタイプです。なので、自分でも少し意外だったのですが、今回はそういう症状も出ませんでした。

修士論文を書き終えるまでに、それだけの時間と労力をかけてきたので、あとは自分の頭の中にあることを話すしかない、という感覚でした。「まあ、大丈夫だろう」というくらいの心境です。

ただ、緊張とは別に、質問にちゃんと答えられるかどうかの不安はありました。想定していない角度から質問が来た時に、自分の言葉で説明しきれるか。そこだけが気がかりでした。

質疑応答の30分は、ほぼ質問攻めだった

質疑応答の約30分は、かなり濃かったです。一つ質問に答えると、また次の質問が来る。さらに、その答えに対して別の角度から質問が来る。まさに、ずっと質問が続いているような感覚でした。

途中で大きく止まることはなく、完璧な答えではなかったかもしれませんが、聞かれたことに対して、自分の言葉で淡々と答えることはできました。

当日は、発表を見に来てくれた友人が3人いたのですが、後から「質疑応答、かなり落ち着いて答えていた」「聞かれたことに対して、テンションを変えずに淡々と答えていた」と言ってもらえました。自分としても、緊張していたわけではなかったので、その落ち着きは、外から見てもそのまま伝わっていたのだと思います。

一度外に出て、合格を告げられた

質疑応答が終わった後、私たちは一度部屋の外に出ました。先生方だけで審査をする時間です。実際には10分くらいだったと思います。

この間、正直、落ちるかもしれないという心配は一切していませんでした。合格点を下回るはずがない、という自信はありました。修士論文を書いている間、そこだけは下回らないように意識して書いてきたからです。ただ、点数がどのくらいだったのかは、単純に気になっていました。

その後、部屋に呼ばれ、合格を告げられました。もちろん、修正は必要でした。でも、口頭試問を通過できたことで、「修士論文として認めてもらえたんだ」と感じることができました。

点数はあえて確認しなかった

口頭試問の場では、特に点数は言われませんでした。後日、少し気になって指導教授に聞いてみたのですが、先生からは、指導教授や審査員によって点数のつけ方はかなり違うので、知らなくてもいいのではないか、というようなことを言われました。

それを聞いて、私も「確かに知らなくていいか」と思いました。点数を知ったところで、誰かと比べたくなるかもしれません。でも、修士論文は本来、他人と点数を比べるために書いたものではありません。自分が最後まで書き切ったこと、口頭試問を通過したこと、修正を終えて正式に提出できたこと。それで十分だと思いました。なので、私は結局、点数を確認するのはやめました。

審査員の先生が、本当に丁寧に読んでくれていた

口頭試問で一番印象に残っていることの一つは、外部の審査員の先生が、私の論文を本当に丁寧に読んでくださっていたことです。事前に送っていた論文の冊子には、びっしりと付箋が貼られていました。正直、かなり驚きました。

指導教授や審査員になっても、たぶん大きな手当が出るわけではないと思います。それでも、学生の論文をここまで丁寧に読んでくださる先生がいることに、本当にありがたさを感じました。論文を書いている間は、自分の文章とずっと向き合っているので、だんだん孤独になります。でも、口頭試問の場で、先生が真剣に読んでくださっていたことが分かり、「ちゃんと誰かに届いていたんだ」と思えました。

台湾で日本語の参考文献を集める難しさ

台湾で日本語の修士論文を書く中で、大変だったことの一つが、日本語の参考文献を集めることでした。台湾にいると、日本の図書館や大学にある文献をすぐに手に入れることが難しい場合があります。電子化されている論文ならまだいいのですが、古い雑誌論文や本の一部などは、なかなか手に入りません。

実は、私の論文にも、参考文献の扱いで少し妥協してしまった部分がありました。口頭試問では、その点についても指摘を受けました。ただ、その審査員の先生は、ご自身も論文執筆の大変さをよく分かっている方で、当日、参考になる文献を私に渡してくださいました。その文献は、日本のご家族に頼んで図書館でコピーしてもらったものだったそうです。

これには本当に驚きました。そこまでして資料を用意してくださるとは思っていませんでした。後から気づいたのですが、その参考文献の著者は、その審査員の卒業校の先生でした。当日はそこまで詳しく言われなかったのですが、後で調べて「ああ、そういうつながりもあったのか」と思いました。この文献のおかげで、口頭試問後の修正はかなりスムーズに進みました。

口頭試問後の修正は、思ったより早く終わった

口頭試問後の修正は、約1週間くらいで終わりました。理論的な説明を補ったり、専門用語に脚注をつけたり、参考文献の扱いを修正したりしましたが、大きく章構成を変えるような修正ではありませんでした。

特に意識したのは、「読む人に分かりやすくすること」です。自分の中では分かっている言葉でも、読者にとっては突然出てくる専門用語に見えることがあります。論文を書いている本人は、何度も同じ言葉を見ているので慣れてしまいますが、初めて読む人にとって分かりやすいかどうかは、また別の問題です。口頭試問後の修正では、その点をかなり意識しました。

準備しておいてよかったこと

口頭試問を終えて、準備しておいてよかったと思うことがいくつかあります。

まず、自分の研究目的と結論を、短く説明できるようにしておいたことです。どんな質問が来ても、最終的には「この研究は何を明らかにしたのか」「なぜこの研究に意味があるのか」に戻ってくると思います。

次に、弱い部分を自分でも分かっておくことです。自分の論文の弱点を完全に隠すことはできませんし、むしろ先生方はそこを見つけます。だから、弱い部分を聞かれたときに、「確かにそこは本研究の限界です」「今後の課題として考えています」と説明できるようにしておくことが大事だと思いました。

最後に、発表練習をしておくことです。発表そのものは20分でしたが、ここで大きく崩れると、質疑応答に入る前にかなり焦ります。発表はできるだけ安定して話せるようにしておいた方がいいです。

口頭試問を受けて思ったこと

口頭試問は、身構えられがちな場だと思います。でも、終わってみると、単に「落とすための場」ではなく、論文をより良くするための場でもあったと思います。

質疑応答の最中は、答えられるかどうかの不安はありました。でも、先生方の指摘を受けたことで、自分の論文の弱い部分がはっきりしました。そのおかげで、最終提出前に論文を少し良くすることができました。修士論文は、本文を書き終えただけでは完成ではありません。発表し、質問に答え、修正して、提出して、ようやく一区切りです。

これから修士論文の口頭試問を受ける人に伝えたいのは、完璧な答えを用意しようとしすぎなくてもいい、ということです。もちろん準備は必要ですが、どれだけ準備しても、想定外の質問は来ます。大事なのは、止まらず自分の言葉で答えること、分からないことは無理にごまかさず限界や今後の課題として整理すること、そして自分の研究を最後まで自分で説明することだと思います。

私も、準備した質問がほとんど聞かれず、30分間ずっと質問を受ける形になりました。それでも、落ち着いて答え続けることで、何とか乗り切ることができました。

ちゃんと論文を書いて、自分の研究と向き合ってきたなら、あとは頭の中にあることを話すだけです。私にとって口頭試問は、修士論文の最後の大きな山でした。そして、その山を越えたことで、「本当に卒業に近づいたんだ」と感じることができました。

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